浮気彼氏から奪うオトコ。
○ 恋から逃げた少女 ○
「戻れないんだよ」
あたしが涙を流しながら言った瞬間、
大きな花火が上がり、花火大会は終わった。
ぞろぞろと帰る人の中、あたしは功クンの腕を取った。
「じゃあね、廣クン!元気で」
「あっ、待てよ、妃鞠!」
小さい頃と重なって見える君は、
本当に寂しそうで、あたしは見ていられなくなる…。
「ごめんね、傍にいれなくて」
そしてあたしと功クンは人ごみの中を走り続けた。
ずっとずっと走っても、全然疲れなくて。
ただ涙が止まらなかった。
―本当はどうしたかったのかな…?
あたしは何が正解で、間違えだったのか分からない。
それでも君から離れた方が、もう辛い思いをしなくて済むんだと思ってしまった。