浮気彼氏から奪うオトコ。
「妃鞠ちゃん!どこ行くのっ?」
「えっ」
気づくと全然知らない町並みが見える。
一気に顔が青ざめていく。
「どこ、ここ…」
「あ。川原がある。あそこに座っちゃお」
「う、うん」
勝手に振り回したのに、功クンは怒っていない。
「ねぇ功クン…怒らないの?」
功クンは自分のジャンパーを草むらに広げてくれた。
そこに座ると、功クンは寝転がっていた。
「あの時の妃鞠ちゃんは、自分を責めていたでしょ?
だから…よほど辛かったんだなって思ってた。
俺を選んでくれて嬉しかった。どんな理由でも…」
ふわっと微笑む功クンを見たら、また涙が止まらなくなる。