浮気彼氏から奪うオトコ。
そっと功クンの顔が近づいても、拒む気にはなれなかった。
―功クンと付き合うことが間違っていたとしても…。
廣クンとの永遠の恋なんてないのだから…。
そっと触れ合う唇に、何故だか罪悪感を感じた。
でも…どこか、解放されたようで幸せにも感じて。
不思議な気分だった―…。
「キスするとき、妃鞠ちゃんはこんなにも可愛い顔をしてるから…。
あの人もしたくなったのかなぁ?」
「あの人?」
「こっちの話だよ」
教えてくれない功クンに、むっとすると。
「いい加減、名前で呼んでよ?蒼斗ってさ」
少しだけ揺れ動いた功クンの瞳は、どこか切なく見えた。