浮気彼氏から奪うオトコ。
「あ、蒼斗…クン」
「ありがとう」
隣で寝転ぶ功クンと視線が重なったとき、
視界がまた涙で歪む。
それはきっと、功クンも泣いていたからかも知れない―…。
「俺って…情けないや……。
どんなに泣きたくないって思っても、
こんなにも簡単に流れちゃうんだ」
「蒼斗クンは情けなくなんかないよ…。
ずっとカッコいいよ……」
「お世辞でも…嬉しいよ。素直にね」
さっき蒼斗クンが夜空に手をかざしたように、あたしも手を伸ばす。
近いところに星があるようで、どこか遠いのは――…。
あたしと廣クンの距離にとても似ていた。