浮気彼氏から奪うオトコ。
―廣story*
俺は小せぇ頃から、ずっと愛情を知らないで生きてきた。
オンナなんて向こうから寄ってくるし、
運動や勉強もそこそこできたから、俺に出来ないことはないって思っていた。
それは恋っていうヤツもきっと同じで、
手に入らないものなんて、1つもないと思った。
でも―そんなことはありえない話だ。
手に入らないものがあるからこそ、
生きている意味があるのであって。
妃鞠と出会わなかったら、俺は生きている意味を失いかけていたんだ。
「俺の傍にずっといてくれるよな…?」
それが妃鞠に対して、毎回言う言葉だった。
妃鞠は孤独になった俺の傍にずっといたし、離れたらきっと生きる希望なんてない。
だからこれが恋だと思った。