浮気彼氏から奪うオトコ。

だけど恋がこんなにも、上手くいかないことを知ってから、

きっと妃鞠が本当の意味で好きになったんだと思う。




浮気をするのは―…。

アイツが戸惑うのを見て、

「廣クンはあたしの傍にずっといてよっ…！」


て俺がいつも言うように、妃鞠だって言ってくれると思った。



それなのに妃鞠は黙ったままだ。

何でも従って嫌がる素振りはない。

もしかしたら、これが妃鞠なりの恋の表現なのか―――？

何て誤解をしてしまった。




この誤解が全てを狂わせていた―…。




浮気を重ねていくうちに、オンナに溺れそうで怖かった。

人のぬくもりを求め続けて、俺は壊れそうだった。




だからいつか妃鞠を傷つけないように、浮気を重ねて嫌って欲しかった。



俺なんかよりも、もっといいヤツがいるって思っていたから―……。