浮気彼氏から奪うオトコ。
「…廣クン」
俺の名前を呼んで欲しいって。
そう思った人は―…たった1人だけだった。
「愛してる」
誰かから愛されたかったわけじゃなかった。
妃鞠だけが好きでいてくれたら、本当は幸せだった。
アイツは覚えているか知らないけど、
昔から夏の大きい花火をやる、花火大会には毎年一緒に行った。
俺はいつも妃鞠のことばかり考えて、
絶景の場所を探しては、そこに連れて行き。
今に思えば、走らせてばっかりで、屋台すらまともに見ていなかった。
つい先週行った花火大会では、妃鞠は前よりも元気がなかった。
俺の浮気を見て、日に日に妃鞠の様子がおかしくなって。
きっと嫉妬しているんじゃないかって。
アイツを苦しめてばかりだった―…。