浮気彼氏から奪うオトコ。






中学時代から付き合い始めて、もう5年半以上は経った。

それなのに―…。どうして終わったんだろう。




俺の浮気が原因だったのは分かる。



でも妃鞠ならずっと、そう―…一生好きでいてくれると信じていた。





『「…別れよう」』



あの重い声は、俺からいつもオンナに言う台詞だった。

それを妃鞠の口から出るなんて、予想もしなかった。



あの時の妃鞠は本当に苦しそうで、

俺がどんなに言っても、もう戻ってくれないと分かったんだ。



だから小さい頃から繋いでいた手を、そっと離していた―…。


そのはずが、俺の動きが一瞬スローモーションに感じて、

妃鞠の唇に触れていた。




そこにはどんなに儚くても、俺がずっと欲しかったぬくもりがあった―――…。




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