浮気彼氏から奪うオトコ。






夜の街を必死に探し歩いた。


ゆっくりと見せてあげられなかった、この屋台の景色を、
誰かと一緒に歩いて見ているのだろうか。


それとも、大きな花火を誰かと眺めてるんだろうか―…。




何でだよっ…。

こんなに不安になるくらいなら、
浮気なんてしなきゃよかった……。



母さんのマネなんかしなかったらよかったんだ―…。





「あ…」



妃鞠をようやく見つけて、安堵の息を漏らす。

可愛い浴衣に身を包んで、髪を結ってある。



その髪には綺麗な髪飾りが光り輝いていた。



「ひま…」


愛しいアイツの名前を呼ぼうとして、ぴたりと足が止まった。



そこには、俺の嫌いなヤツがいたから―…。




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