龍乃一味のカオスな学園生活

「ノエルっちの事話したら、父ちゃんが『一度出稽古に来い』って言ってたよ」

「えっ、龍太郎さんが？」

龍乃の言葉に、ノエルは驚く。

龍太郎の丹下道場と、拓斗の橘道場は、どちらも龍娘流中国拳法の稽古場だ。

サンドバッグや木人（組手用の木製人形）、ウェイトトレーニング用の器具も置いてあるものの、基本的には板張りの床の、昔ながらの道場だ。

本格的に武道を習う猛者から、健康の為に通うお年寄りまで、幅広い門下生がいるのはどちらの道場も同じ。

ノエルを含め、黒帯を持つ門下生は多いが、龍娘流中国拳法で六段から八段の者が締められる紅白帯を持っているのは、龍太郎と拓斗のみだ。

まだ鬼龍ですら、紅白帯は持っていない。

二人の実力がどれ程のものか、ノエルならば分かる筈だ。