龍乃一味のカオスな学園生活
「琥珀殿から貴様の幼少の折の話は聞いた」

納刀した菩薩を携えたまま言う武。

「この際経緯はどうでもいい。虐められていたそうではないか。相当陰湿な虐めだったと聞く。それで初等部から天神学園に来たそうだな」

「……」

「が、それをいつまでも引き摺り、いまだ人付き合いが苦手だと…フン」

武は嘲笑った。

「虐めから逃げ出し、恐ろしさに他人との関わり合いからも逃げるか…これ即ち軟弱の極み」

言った途端に。

「序曲(ウーベルチュール)」

刹那の月蝕が抜き放たれた!

抜刀からの刺突!

これを抜き切らないまま菩薩で受け流す武。

しかし!

「追走曲(カノン)」

受け流された月蝕を逆手に持ち替え、刹那は反転して再び刺突!

切っ先が、武の頬を掠めた。

だが、技の名が追走曲(カノン)とは。

かつて刹那の母、琴子が過去に善と対峙した際、皮肉も含めてわざと彼の恋人と同じ名前のこの技を使い、善に半殺しにされた事があるという。

その息子である刹那が、善、そして花音の息子である武に追走曲(カノン)を使う。

「母の名を穢された…などと激昂するか?」

刹那は薄く笑った。

「母親依存症か?これ即ち軟弱の極み」

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