龍乃一味のカオスな学園生活
その武の傍らを。

「狂想曲(カプリチオ)」

軌道を読ませない気紛れのような斬撃が放たれる!

手にした大振りの刀を抜く暇もなく、トトン、と距離を置いて回避するさくら。

「音無、貴様」

武は斬撃を放った刹那を睨む。

「腕前を検分するのは、貴様でなくともできよう」

黒く何も反射しない月蝕の刀身を返しながら刹那は言う。

もとより刹那も、さくらの不遜な物言いに憤りを隠し切れなかったのだ。

軟弱と言うからには、己が刹那よりも上回っている事の証明を見せてみよ。

向けられた月蝕の切っ先がそう語る。

しかし、菩薩と月蝕に加え、更にもう一つの切っ先がさくらに向けられた。

「分家の指南役達は下がってて頂戴」

歌うような声と共に。

「前奏曲(プレリュード)」

さくらの頸動脈を狙った峰打ち!

新生琴月流は不殺故に出血こそもたらさなかったが、これが刃を返していれば、今頃さくらは血の海に沈んでいた。

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