龍乃一味のカオスな学園生活

寒くなってきたとはいえ、夕城道場での稽古を終えるといつも汗だくになる。

修行に熱が入ると、季節に関係なくこんなものだ。

道着一枚で寒いなどと言っている者は一人もいない。

夕城道場で稽古する者は努力家揃いなのだ。

「あーあ、また道着が解れてきたなあ、新調しなきゃ駄目かな…」

脱いだ道着を広げて見ながら、ノエルが言う。

「俺のも擦り切れている所がある…母上に繕って頂かなければ」

しかし武が道着の修繕を頼むと、母の花音も妹の花も、すぐウサギのアップリケを付けようとするので困りものだ。

そういえば拓ちゃんも、ウサギのアップリケ付けられていたっけな。

だがその道着で、拓斗はタイマントーナメントに出場できるまでに成長したのだ。

縁起物と言えるかもしれない。