龍乃一味のカオスな学園生活
日も随分傾き始めた。

「……………………………………おや」

冬樹は顔を上げる。

校内に可愛らしい声が響いた。

放送委員、花の下校放送だ。

この声を聴きたいが為に、いまだ下校時間ギリギリまで居残る男子生徒が多数だという。

成程、頷ける。

それでもしばらくは清掃を続ける冬樹。

武はキリのいい所までと言っていた。

ならばあともう少し…。

と。

「ふわあっ?」

下校放送で聞いたのと同じ、可愛らしい声が耳に届く。

振り向くと、放送室から出てきて廊下を歩いていた花が、こちらを見ていた。

「な、何してるの冬樹君っ」

「……………………………………いえ…清掃を…」

見れば冬樹は、排水溝の蓋まで引っぺがして、中の汚泥まで取り除いている。

徹底的にやり過ぎだ。

顔まで汚れてしまっている。

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