龍乃一味のカオスな学園生活

琴月次期指南役の憂鬱(その3・正月の節)

「明けまして、おめでとうございます」

きちんと正座して、孔雀に深々と頭を下げる刹那。

琴月別邸のお正月。

やはり彼は堅苦しい。

「刹那、僕達は家族のようなものだ。そこまで畏まらなくていい」

「いえ、家族である前に琴月宗主であらせられます。こういう挨拶はきちんとしておかないと」

おや、と思う孔雀。

昨年の正月は、『家族などととんでもない、俺は琴月宗家の手となり足となる分家の倅であり、お嬢様の教育係です』と、家族である事を否定するような発言をしていたのだが。

(…琥珀のお陰かな)

刹那の畏まった姿を見ながら苦笑いする我が娘を、孔雀は薄笑みを浮かべて見つめる。

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