この恋をつないで
母のありがたいお話は終わり、自分の部屋へと向かう階段の途中。


おばあちゃんと階段に腰掛けて遠い外国の不思議な話を聴いた事を思い出す。


あの小箱はどこで手に入れたんだろう。


部屋へ戻りベッドに腰掛けて小箱を眺めた。

おじいちゃんとはかけ離れたあの綺麗な顔立ちの男の人はおばあちゃんと一体どういう関係だったんだろう。

初恋…とか?


初恋。


私の初恋は高校生の時だった。


隣のクラスで、サッカー部だった彼。


胸が痛くなる感覚を初めて知った。

高3の体育祭の後、やっとの思いで告白して…


付き合えた時のときめき。


だけど、受験で忙しい私と推薦で早くに進学が決まっていた彼とのすれ違いと、私が第一志望校に落ちて県外に進学が決まってしまったことによって…

うまくいかなかった。


受験に失敗しなければ…


そう悔やんで落ち込んで大学の入学式の日高熱を出した。


高熱でうなされる中、夢の中でおばあちゃんが私に、


「運命を信じなさい。これもまた未来に繋がっているのよ」

そう何度も語りかけた。


未来よりも過去を変えたい私にはおばあちゃんの言葉の意味は無意味に思えた。










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