この恋をつないで
「じゃあ、そろそろ仕事に戻ります」


「そうですか」


私は彼に合わせて席を立ち上がった。


「あ、まだ時間があるなら1人でゆっくりしていって構いませんよ。こういうの好きですよね?」

『本日のケーキ』と書かれたメニューをそっと手渡して彼は立ち去った。


「あ、モンブラン…」


本日のケーキを注文しながら、

「私、モンブラン好きとか言ったことあったかな…」

と呟いた。


お見合い話は、母親の知り合いの知り合いとか遠いところからやって来た。

彼は条件的には申し分ない。


経済力、外見…
それなのにどうしてわざわざ私とお見合い?


私は最近まで企業の受け付けをしていた。
そこで見かけたのかな。

でも、受け付けをしている人は美人な人が多く私なんて平々凡々で一緒に並ぶのも気が引けてしょうがなかった。


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