この恋をつないで
わざわざ私に…なんて不自然すぎる。


「そんなことないよ?叶会ちゃんかわいいよ?」


長いまつ毛に大きな黒い瞳で私を見つめる彼女は同じ受け付け嬢だった希実。


彼女は昨年寿退社した。
その時の男達の落胆ぶりと言ったら…

本人には自覚なしのようで学生時代から付き合っていた彼とめでたくゴールイン。

半年後にはママになる。

モンブランを1人で食べているところ、何か視線を感じて目をやると、産婦人科帰りの希実が窓に張り付いて手を振っていた。


「叶会ちゃんは彼のどこにひかれたの?」

その純粋な瞳で私を見ないで。



「えっと…経済力⁇」

とは言えない。


「うーん…特別嫌だと思うところがなかったから?」

希実は不満そうな顔でハーブティーに手を伸ばす。


「そんなんで大丈夫なの?」

希実の薬指に光る指輪を見つめながら私は頷いた。
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