伝説のヤンキー I
裕翔SIDE

愛梨がいない

どこか行く時は必ず俺に連絡しろって言ってんのに

家に行ってもいねえし

どこにイヤがんだ

プルルル〜

プルルル〜

「ちっ、でねぇ。電源切ってんのか?」

とりあえずあいつが行きそうな所探すか







「愛梨が行きそうな所って他にどこがあるっけ?」

本屋も行ったコンビニにも行った

愛梨の友達ん家にも行った

いつもの公園にも行った

他にあいつが行く所なんて知らねえぞ

「どこにいんだよ、クソッ」

「裕翔?何してんだ?」

「……朔弥」

「何イラついてんの?」

「愛梨がどこにもいねえんだよ。いつもはどこか出掛ける時は俺に言えって言ってんのに」

「古畑が?珍しいな」

「だろ?何かあったらどうすんだよ」

はぁもうマジでどうすんだよ

ただでさえ狙われやすいのに…

「俺も探そうか?」

「いいのか?」

「あぁ、ちょうどヒマだったし」

「マジ?サンキュー。流石俺の親友」

「で、古畑が行きそうな所は全部探したわけ?」

「あぁ、探した」

俺は周りをキョロキョロ見渡した

すると


「お前が橘裕翔か?」

後ろから突然声をかけられた


「そうだけど、あんた誰?」

「少し来て貰おうか」

んだよ、突然

誰って答えてんだから名前ぐらい名乗れよ

つーか、なんで俺の名前知ってんだよ

「知らねえ奴にはついてかねえ」

「裕翔知り合いか?」

こいつ、アホか?
今の会話聞いてたか?
どう考えても知り合いなわけねえだろ

だが、俺は心の中で突っ込み朔弥をスルーした

「おい、聞いてんのか?」

「いいから、来い」

男は急に俺の腕を掴んだ

「離せよ!」

朔弥は何してんだ?

何ボーッと突っ立てるんだ?

助けろよ!
普通助けるだろ?



何度抵抗しても手は離れなかった

俺はこのまま見知らぬ男に連れ去られそうになっていた

その時突然俺の後ろからナイフがとんできて男の肩に突き刺さった




「何してんだ?」






裕翔SIDE *end*


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