「幽霊なんて怖くないッ!!」
「おい馬鹿、やめとけ」
「ケホッ……こ、こんなの余裕……ケホッケホッ……ですっ……!!」
「どこがだよ。 ほら、よこせって」
「だ、大丈夫ですもんっ……ケホッ…ケホッ……」
……煙が体の中に入ってきて、気持ち悪い。
こんなものを吸っている八峠さんの気が知れないよ……。
「涙目になってんのにどこが『大丈夫』なんだよ」
「うぅ……だって……」
「あぁもう俺が悪かったよ。 ほら、だからそれ よこせって」
「ケホッ……ケホッ…ケホッ……」
私の手からタバコを取った八峠さんは、それをすぐに灰皿へと押しつける。
そして せき込む私の背中をそっとさすりながら、八峠さんは小さく息を吐き出した。
「お前はお前のままでいいんだから、無理すんな」
「……だって、子供扱いするから……」
「悪かったよ。 俺が悪かった」
「……なんで素直に謝るんですか。 そんな八峠さん、気持ち悪いですよ」
「お前、俺のことをなんだと思ってんだ」
呆れたような声のあと、八峠さんは台所へと向かい、コップに水を入れて持ってきてくれた。
それを受け取り、水をゆっくりと体の中へと流し込む。
「落ち着いたか?」
「……はい、なんとか」
「で、服はどうすんだ? ハクに頼めばすぐに持ってきてくれると思うけど」
「うー……じゃあ、薄暮さんにお願いします……」
「なんだよ、まだパンツのこと気にしてんの? あんなもんただの布っ切れだろ。 それを見て興奮すんのは変態だけだっつーの」
……それはそうかもしれないけど、恥ずかしさはあるわけで……。