「幽霊なんて怖くないッ!!」
「……やっぱり無理ですよー……」
「あ、そ。 じゃあちょっと待っとけ、知り合いに連絡するから」
「へ? え、なんでですか?」
「知り合いの女にテキトーに買ってきてもらう。 それでいいだろ?
ソイツはお前と身なりが似てるし、まぁサイズが違ったとしても一晩くらいなんとかなるだろ」
「あ、はいっ……」
……八峠さんって、女性の知り合いが居るんだ。
あんまり人付き合いをしてるイメージが無いから、意外な感じ。
「あぁもしもし、俺だけど。 女物の服と下着、どっかでテキトーに買ってきてくれない?
え? いやいや、彼女とかそういうのじゃねぇから。 うん、お前のサイズでいいから。 うん、うん、今 自宅だからそっちに届けて。
じゃあ1時間後に。 うん、よろしく頼む。 はいよ、じゃあな」
短いやり取りが終わり、八峠さんは私を見る。
「つーことで、1時間後に知り合いの女が荷物を届けに来るから。
その時にメシも買ってきてくれるってさ」
「……なんか、すみません……」
「謝るくらいだったら最初っからお袋の服着るとかハクに頼むとかしろっつーの」
「うぅ……だって……」
「ったく、ほんっとにお前は面倒な奴だな。 アレも嫌、コレも嫌、ソレも嫌……んなこと言ってるから彼氏が出来ないんだぞ?」
彼氏は関係無い。と思う……。
でもほんと、私ってばダメダメだな……。
「……八峠さんが羨ましいです」
「あ?」
「私、逃げてばっかりだけど……八峠さんは、違うから……」