「幽霊なんて怖くないッ!!」
……確実に殺すため……。
そのために、カゲロウは色々なことを行い、検証している……?
「……なんで、私たちなんでしょうね」
「……」
「なんで私たちは『カゲロウの血』なんでしょうか。
幽霊が視えるって人はきっとたくさん居るのに、私たちは『カゲロウの血』だから幽霊に狙われる。
小さい頃からずっとそうだった。 普通の人間として生きていきたいのに、それが出来なくて……今もずっと狙われていて、苦しいことばっかり……」
『カゲロウの血』じゃなければ。
カゲロウの子孫じゃなければ。
そんな言葉ばかりが頭の中に浮かんでくる。
「……カゲロウってなんなんですか。 なんで呪いなんてことをするんですか。
なんで、私たちがカゲロウの身代わりにならなくちゃいけないんですか」
なんで。
どうして。
私たちは何も関係無いのに。
そんな風に思いながら下唇を噛む私に、八峠さんは小さく言った。
「もう誰も身代わりになんてさせない。 俺が『カゲロウの血』を終わらせる」
……それは とても小さな声だったけれど、でも、強い思いは変わらずにそこにある。
「俺は両親の敵を討つし、この馬鹿げた連鎖も止める。
俺は、そのために今を生きてるんだよ」
揺らぐことのない思い。
それが、八峠さんの体を動かす原動力。
「……私も、カゲロウを殺したいです」
カゲロウのせいで、私は何度も死にかけた。
何度も何度も追いかけられ、辛い思いをしてきた。
カゲロウが私の遠い遠いご先祖様だとしても、それでも私はカゲロウを殺したい。