「幽霊なんて怖くないッ!!」
「で、お札はどのくらい必要?」
「あ、えっと……とりあえず、いっぱい……?」
「オーケー、準備するね」
秋さんは微笑みながら、私たちが居る部屋の更に奥の部屋へと引っ込んだ。
その部屋は何か特別な場所らしく、入室が許されているのは秋さんの家族だけで、他の人は絶対に入れない。
その部屋にお札が保管されているのは確かだけど、それ以外はまったくわからなかった。
私はそこに保管されているお札を定期的にもらい、幽霊から身を守っている。
定期的に……という言葉からもわかるように、お札の効力は永遠ではない。
乾電池なんかと同じように初めは力が強いけれど、使い続ければ弱くなる。
力が弱くなれば当然狙われやすくなるし、今日みたいに襲われることもある。
……秋さんの家族がくれるお札は強力だけど、いつ効力が切れるか わからない。 それが欠点だった。
その欠点を補うために、時期をずらして数枚のお札をもらって持っていたんだけど……それでも何故か、ここ数ヶ月で幽霊に狙われる回数は増えたように思う。
理由はわからない。
でも、危険が増しているのは事実……。
だから私は八峠さんに言われた通りにお札を持って、家へ帰る。
彼は『帰った頃に連絡する』と言った。
それはつまり、『その時に色々な話をする』ということ……だよね?
色々な話をして、解決方法を見つける。 きっとそうなんだ。