「幽霊なんて怖くないッ!!」


相手が誰であろうと、躊躇うことはない。

敵の姿が大切な人だとしても、躊躇ってはいけない。


躊躇ったら、死ぬ。 それがわかっているから、躊躇うことはない。








「……私には、出来ません……」




……私は、八峠さんと同じようには動けない。

秋さんの霊を消せと言われても、消すことは出来ない……。




「……秋さんを ただのバケモノとして見るなんて、出来ないよ……」




涙が再びこぼれ落ちる。

秋さんの霊が私の前に現れて、私を殺そうと動いてきても……それでもやっぱり私は、秋さんをバケモノだなんて思えない。

姿を変えて、どす黒いモノになったとしても……それでも私にとっての秋さんは、秋さんだ。





「私……秋さんのことが、凄く凄く好きで……大好きでっ……」

「知ってる。 秋もお前のことを想ってた。 ただの親戚以上に想ってた」

「……っ……どうして、こんなことにっ……なんで……私はっ……!!」




……私は秋さんと一緒に居たかった。

恋とか愛とか、そういうのはよくわからないけれど……それでも私は、秋さんの隣で生きていたかった。


秋さんのことを、誰よりも大切に想ってた。


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