「幽霊なんて怖くないッ!!」


「とりあえず10枚くらいあればいいかな?」

「はい、ありがとうございます」

「家まで送ってあげたいけど、さっき力を使っちゃったから……今日はごめん」


「いえいえ、大丈夫ですっ。 飛ばしていただき、ありがとうございました」




部屋に戻ってきた秋さんからお札を受け取り、ブレザーの内ポケットへと大事にしまう。


秋さんは私よりも強い力の持ち主だけど、力を使えば当然消耗する。 お札とおんなじだ。

消耗した状態で結界の外に出るのはさすがの秋さんでも危険な行為だった。


お札があれば大丈夫だとは思うけれど、彼は高校生の頃、力を消耗した状態でお札の効力が切れ、とても怖い思いをしたらしい。

それ以来、消耗した状態での外出は控えるようになったと聞いた。


私も、何度も幽霊に追いかけられているから、秋さんの思いがわかる。

本当は私だって、外に出るのが怖い。

ずっと家に引きこもっていたい。 幽霊なんか視たくない。


そう思っているけれど、それでも私は外に出て学校へ行き、『普通の生活』を望みながら生きている。


引きこもったら負け。

『普通』に生きていたいなら、外に出るしかない。

たとえ、幽霊に追いかけられようとも……。


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