「幽霊なんて怖くないッ!!」


……私たちが一緒に居ることが、当たり前となった世界……?




「つまり、その……50年後の私たちって、結婚してる……ってことですか……?」

「んなもん知るかよ、50年後の自分に聞け」

「……プロポーズみたいなものって言ったのはそっちじゃないですか」


「んなこと俺が言うかよ、馬鹿」




……言ってたじゃん。 つい1分くらい前に言ったのに、なんで しらばっくれるかなぁ……。




「……八峠さんが何を考えてるのか、全然わかんないです」




そう言ってため息をついた私に、八峠さんは微笑みを見せるだけだった。










──その後、私たちは八峠さんの家を出て夜の道を歩いていた。

八峠さんに『泊まっていくか?』と聞かれたけれど、明日も学校があるので断った。

翌日が休みなら、間違いなく泊まっていたけどね。




「週末になったら、また泊まりに行きますね」

「うん、適当に掃除しておく」

「とか言いつつ、薄暮さんにやらせるんでしょ?」


「馬鹿、掃除くらい出来るっつーの。 まぁ庭の手入れはハクに任せるけどな」




そんなことを話しながら、私たちは笑い合う。


八峠さんの家の2階の1番奥の部屋は、現在 私専用の部屋となっている。

と言っても、部屋の中にあるのはベッドと着替えなどが入ったカバンだけだ。

元々は八峠さんの部屋だったけれど、リビングと同じように 不必要な物は処分されており、ベッドは『仮眠用』として残されていたらしい。

そのベッドを、秋さんが亡くなったあとの数日間は私が利用させてもらっていた。

そして多分、これからも私が利用していくと思う。


……なんだかんだで、彼の家は居心地がいい。

50年後は本当に一緒に住んでいるかも?


まぁ、結婚とかそういうのじゃなくて、『ただの同居人』ってだけだと思うけどね。


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