「幽霊なんて怖くないッ!!」
「ねぇ八峠さん。 このあと、外に居るんですか?」
「そうなるだろうな。 多分また公園辺りに居るよ」
「……不審者に思われません?」
「適度に移動するから平気」
「……夜の町を徘徊してるって、それはそれで不審者っぽくないですか?」
「仕方ねぇだろ、まだ ねぐらが無いんだから」
……あ、そっか。 双子の家の近くにはアパートを借りてたって言ってたよね。
双子の家が燃えちゃった今は、もう行ってないみたいだけど……。
八峠さんは双子の時と同じように、私の家の近くに部屋を借りて 幽霊たちを監視しておくつもりなんだ。
……でも、この辺りにはアパートは無いよね……。
飽き家も無かったように思うし……。
「……八峠さん、私の家に住みます?」
「は? なんで?」
「だって ねぐらが無いって言うから。 ウチ部屋空いてるんで大丈夫ですよ?
お父さんとお母さんも、八峠さんなら歓迎してくれると思いますし」
八峠さんの家に私が行ったように、今度は八峠さんが私の家に来ればいい。
今からどこかに部屋を探すよりも、ウチの部屋でいいじゃないか。 と、そう思った。
「どうせ50年後も一緒に居るなら、今スタートさせちゃいましょうよ」
「……それってプロポーズ?」
「いえ、宿無しのオッサンを拾っただけです」
「俺はオッサンじゃねぇっつーの。 つーか、宿無しのオッサンを拾うこと自体おかしいだろ」
と、そんなことを言いながらも、八峠さんは楽しそうに笑っていた。