「幽霊なんて怖くないッ!!」
私はお札に頼っているだけで、お札の効力が切れた瞬間に幽霊に殺される。
彼らは私の背中を押せるし、私の体内に入れば私の体を操ることも出来る。
……自分が『カゲロウの血』じゃなければ、そんな非科学的なことなんか鼻で笑っていたと思う。
でも、非科学的なことが私の日常なんだ……。
「……私は、お札を肌身離さず持つことしか……──」
「とりあえず、今日から家の結界は無しだ」
「──……え?」
結界は、無し……!?
そんなことをしたら、私は夜もずっと幽霊に狙われてしまう。
眠っている間にお札の効力が切れたら、私はそのまま殺されてしまうっ……。
「結界を無くすなんて、そんなの無理ですっ……!!」
「ハクを24時間お前のそばに居させる。 何かあればアイツがお前を守るさ」
「えっ……」
ハク……薄暮さんが、24時間私のそばに……!?
「僕がお守りしますので、大丈夫ですよ」
コーヒーの入ったカップをお盆に乗せた薄暮さんが、私たちの元に来ながら にっこりと笑う。
カップの1つは八峠さんに、もう1つは私の近くにあるテーブルに置き、薄暮さんもすぐそばに正座した。