「幽霊なんて怖くないッ!!」


……運命を変える、大きなモノ……。




「カゲロウの動きが以前とは違うものになってきている。
アイツが何を考えているのかは わからないけれど、でも、やるしかねぇだろ」




そう言った八峠さんは、持っていた袋を私へと預ける。

……直後、私の感知出来る範囲に幽霊が侵入してきた。


私たちは今 結界の中なのに、幽霊は真っ直ぐにこっちへと向かってきている。

だからこそ八峠さんは私に袋を預けたのだ。

幽霊と、戦うために……。




「来るぞ。 連戦に備えろ」




──八峠さんのその言葉のあと、黒い塊が塀をすり抜けて現れた。

その幽霊は最初こそ人型だったけれど、今はもうただの黒い塊だ。

ウネウネと動きながら私たちに近づき、触手のようなものを伸ばしている。




「悪いが俺たちゃ先を急いでるんだ。 通してもらうぞ」




と言い終えるかどうかの間に、八峠さんは塊との距離を一気に詰める。

そして……繰り出された右ストレート1本だけで、その塊を消し去った。




……次々に襲いかかってくる黒い塊を、いとも簡単に倒していく八峠さん。

強烈なパンチ、そしてキック。

彼はまるでダンスでも踊っているかのように、クルクルと楽しそうに敵を倒していた。


それが続くこと数分。

私たちはなんとか無事に八峠さんの家へと到着することが出来た。

八峠さんはすぐに家の結界を張る作業に入ったけれど、短時間で家全体を包むのは不可能。

ということで、リビングだけに結界を張ることとなった。


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