「幽霊なんて怖くないッ!!」
「24時間 家の外に控えていますので、何かあればすぐに対応出来ます」
「よし。 ハク、結界を消せ」
「はい」
短い返事の間に、薄暮さんは一瞬にして姿を消した。
それはまるで忍者のような動きであり、同時に、普段よく目にしている幽霊のようにも思えた。
幽霊たちは突然現れ、突然姿を消す。
そして次に現れるのは、予想もしていなかった場所……。
「八峠さん、終わりましたよ」
「……っ……」
……一瞬にして姿を消した薄暮さんは、今は窓の外に居た。
コンコンと窓を叩きながら微笑み、八峠さんの『戻れ』の言葉でまた姿を消し……その1秒あとには、また室内へ……。
「……いったい、なんなの……」
非科学的なことには慣れている。
慣れているはずだけど……生きている人間がそんな動きをするのは、初めて見た。
……彼はいったい、何者なの……?