「幽霊なんて怖くないッ!!」
「……なんで、急にこんな風になったのかな……」
ここ最近、襲撃は一度も無かった。
すべてが終わってくれていれば……と願っていたのに、結局は何も終わっていない。
……ううん、始まった……?
「……2、3体が一緒に襲ってくることはあった。 でも100体以上が同時なんて、そんなのは一度も無かった。
なのにどうして? なんでカゲロウは、突然こんな風に攻めてきたの……?」
今までのカゲロウとはまるで違う動きだ。
どうしてだろう?
カゲロウは、どうしてこんな風に攻めてきたのだろう?
「……私たちを確実に殺すため? でも、それにしては雑というか、なんというか……」
「彼らはただの寄せ集めだね。 僕らを狙いに来てるけれど、脅威になる者は居ない」
「そう、ただの寄せ集めのような……って、薄暮さんッ!?」
ふっと視界の隅に現れた彼──薄暮さんは、『ずぶ濡れ』の状態で微笑んだ。
「連絡出来なくてゴメンね」
「そ、それはいいけどっ……でも その格好どうしたのっ……!?」
「飛んだ際に距離を見誤った。で、川にダイブ。 その時に携帯を紛失しちゃったんだ」
「川ッ!?」
「川岸ギリギリに降りるはずだったんだけど、大失敗」
苦笑気味に笑いながらスーツの上着を脱いだ薄暮さんは、ネクタイを緩めたあとに白のシャツにも手をかけた。
ボタンを丁寧に外していく姿が凄く色っぽい……じゃなくてっ。 薄暮さんにタオルを渡さなきゃっ。