「幽霊なんて怖くないッ!!」
「で、不老不死のカゲロウをどうやって止めるわけ?」
「あー……うん、不老不死って言っても殺されれば死ぬっぽいよ。 心臓を一突きにしたり、首はねるとか。
多少の傷ならすぐに治るみたいだけど、切断とかすれば多分治んない」
「それ誰からの情報? 八峠くん?」
「ううん、薄暮さんっていう男の人に聞いた。 もうバレちゃってるし言ってもいいかな。
薄暮 一縷さんっていうスーツの似合う男の人なんだけど、その人も不老不死なんだ。
カゲロウは薄暮さんの仲間を殺したんだって。 だから薄暮さんは敵を討つために、何百年も前からカゲロウを追ってるんだよ」
絶対に秘密。っていう約束だったのに、話しちゃってごめんなさい。
「今度 薄暮さんのこと紹介するよ。 あの人凄いんだ、瞬間移動とか使えるしっ」
「イケメン? もちろんイケメンよね?」
「そりゃあもうっ、メチャクチャ格好いいよっ!!」
「よしっ、私の旦那になってもらうっ!!」
「いや、それは多分無理だから」
なんてことを話してる時、ふと視界の隅を何かが横切った。
俺が気付くのと同時に雨音さんもそれに気付き、ほとんど同じタイミングで同じ場所を見る。
まさか幽霊に侵入された? と思ったけれど、そこに居たのは 茶色の尻尾をフワフワと動かす小さな動物だった。