「幽霊なんて怖くないッ!!」


大きさは、小型犬よりもちょっと小さいくらいだろうか。

部屋の隅に ちょこんと座ってるソレは、真っ直ぐに俺たちへと視線を向けていた。


……突然現れた、ってことは、普通の動物じゃないってことだよな。

コイツはなんなんだろう? 動物霊?




「うわーっ、この子 何!? すっごく可愛いんですけどっ!!」




……そう言ってその動物に駆け寄っていったのは、目をキラキラと輝かせる雨音さんだった。




「ちょ、雨音さん無防備すぎっ。 危険な奴だったらどうすんだよ」

「こんっなに可愛いんだから、危険なわけないでしょー」

「見た目と中身は違うかもしれねーじゃんっ」


「大丈夫大丈夫っ。 うわー、ほんと可愛いわー」




目の前のソレは得体の知れない奴なのに、雨音さんは躊躇なくソレの頭を撫でた。

……つーか、容赦なく撫で回している。




「おねーさんのところの子になる? 一緒に住んだら、楽しいこといっぱいだよー?」




……どこが『おねーさん』なんだ。 と呆れながら見ていたら、ソレは礼儀正しく頭を下げたあとに雨音さんを見た。




『素敵なお誘いをありがとう。 僕は妖怪の類だけど、それでもいいのかい?』

「いいよいいよ、私そういうの大好きだからっ」

『それはよかった。 僕はオサキ。 薄暮 一縷さんの友達なんだ』


「おぉっ、イケメンのお友達っ。 私は雨音、コレは息子の氷雨だよ。 よろしくねオサキちゃんっ」




……って、普通に話しちゃってますけどっ!!

コイツ、話せるのかっ……!?


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