「幽霊なんて怖くないッ!!」
……オサキのせい?
100体以上の幽霊が『カゲロウの血』を狙ってるのが、オサキのせいだっていうのか?
「……オサキ、それってどういうことなの……?」
驚いた様子の双葉ちゃんの顔は、段々と不安そうなものに変わっていく。
けれどオサキは何も言わずにそこに座っている。
……多分、薄暮さんが部屋に戻ってくるのを待ってるんだ。
「双葉ちゃん、薄暮さんが戻るまで待とう。 コレは、俺らだけが聞いても仕方ないことだもん」
「……うん」
「オサキもそのつもりだろ? ね?」
場の空気が悪くならないようにと笑う俺に、オサキは小さく頷いた。
それでもやっぱり、彼は何も言わない。
オサキが何を考えてるのか俺には全然わからないし、双葉ちゃんもわかっていないようだ。
……薄暮さんが戻るのを待つしかない。
それ以外に出来ることは何も無かった。
──それから5分ほど経った頃だろうか?
相変わらずのニコニコ顔の雨音さんと、その隣で微笑む薄暮さんが部屋に戻ってきた。
雨音さんは薄暮さんにベタベタだ。 初対面でコレって、普通なら相当嫌がられると思う。
だけど薄暮さんは全く嫌がることなく、普段と同じように優しい笑みを浮かべていた。
「遅いですよ薄暮さんっ。 俺ら、オサキの話を聞くためにずーっと待ってたんですよ?」
「ごめん、つい話し込んでしまって」
「オサキの話、けっこー衝撃的なものですよっ。 ……多分だけど」
「うん」
雨音さんに導かれるまま、薄暮さんはソファーに腰を下ろした。
雨音さんは当然のように薄暮さんの隣に座り、双葉ちゃんも雨音さんに導かれるままソファーへ。
ソファーは満席だから、俺は仕方なく床に腰を下ろす。
全員の視線が注がれる中で、オサキは静かに静かに話し始めた。