「幽霊なんて怖くないッ!!」
……だけど、なんとか少しだけでも倒したい。
5体を一気に相手にするのは無理だと思うけど、だからって何もしないまま終わるわけにはいかない。
他のみんなに迷惑がかからないように、少しでも長く戦わなくちゃっ……!!
「負けないっ……絶対に、負けないんだからっ……!!」
飛び出してきた1体目を棒で斬りつけ、即座に2体目を見る。
2体目と3体目はほぼ同時の突進だ。
大丈夫、落ち着いてスペースのある左へ回避、すかさず反撃へ。
よし、2体目撃破。
そのまま3体目もっ……──!!
「……っ……」
──……しまった。一瞬反応が遅れた。
3体目はなんとか倒したものの、4体目と5体目が腕と足に絡みつく。
「くっ……!!」
モゾモゾと動く2つの塊は、どちらも心臓を目指しているらしい。
虫が這うような気持ち悪い感覚に めまいがするけれど、でも、気を失っちゃダメっ……。
「さわ、るなっ……!!」
グニョリとしたソレを素手で掴み、引き離そうとするけれど。
ソレは全く取れる気配が無く、むしろ腕と足に食い込んでいく。
ヤバい、ここから侵入されてしまうっ……!!
「……っ……」
追い打ちをかけるように、更に数体が私の体を目指して飛んでくる。
……私は、今度こそ本当に死ぬかもしれない。
「おいコラ、双葉 杏。 まさか諦めたとか言わねぇよな?」
──諦めかけたその時、警棒を持った男性が複数の塊を斬りつけた。