「幽霊なんて怖くないッ!!」


……だけど、なんとか少しだけでも倒したい。


5体を一気に相手にするのは無理だと思うけど、だからって何もしないまま終わるわけにはいかない。


他のみんなに迷惑がかからないように、少しでも長く戦わなくちゃっ……!!




「負けないっ……絶対に、負けないんだからっ……!!」




飛び出してきた1体目を棒で斬りつけ、即座に2体目を見る。

2体目と3体目はほぼ同時の突進だ。

大丈夫、落ち着いてスペースのある左へ回避、すかさず反撃へ。

よし、2体目撃破。

そのまま3体目もっ……──!!




「……っ……」




──……しまった。一瞬反応が遅れた。


3体目はなんとか倒したものの、4体目と5体目が腕と足に絡みつく。




「くっ……!!」




モゾモゾと動く2つの塊は、どちらも心臓を目指しているらしい。

虫が這うような気持ち悪い感覚に めまいがするけれど、でも、気を失っちゃダメっ……。




「さわ、るなっ……!!」




グニョリとしたソレを素手で掴み、引き離そうとするけれど。

ソレは全く取れる気配が無く、むしろ腕と足に食い込んでいく。


ヤバい、ここから侵入されてしまうっ……!!




「……っ……」




追い打ちをかけるように、更に数体が私の体を目指して飛んでくる。


……私は、今度こそ本当に死ぬかもしれない。









「おいコラ、双葉 杏。 まさか諦めたとか言わねぇよな?」




──諦めかけたその時、警棒を持った男性が複数の塊を斬りつけた。


< 250 / 285 >

この作品をシェア

pagetop