「幽霊なんて怖くないッ!!」
「雨音さーん、そっちはそっちでなんとか頑張ってくださいねー?」
「八峠くんっ!! もうっ、カッコイイ出方をしてくれちゃって!! ヒーローねっ!!」
「いやいや、ここぞという時のために力を温存してたんですよ」
「ということはどっかで見てたのねっ!? この野郎っ、あとでご飯奢りなさいっ!!」
「オーケー、お互い生きてたらですけどね」
「私が死ぬわけないでしょっ!! もちろん、あなたもねっ!!」
八峠さんの登場により、雨音さんはいつも以上に元気な笑顔を見せ、その動きもさっきよりも機敏になったようだ。
なんだかんだと言いながらも、さっきまでは勝てるかどうかわからずに戦っていたんだと思う。
でも今は、勝てる。
そう思ったからこそ、雨音さんは笑顔で戦っているんだ。
「おいコラ、氷雨。 手ぇ抜いてんじゃねーぞ?」
「抜いてないですからっ!! コレが俺の全力っ!!」
「お前、それでよく自分のことを『強い』とか『天才』とか言ってたな」
「いやいやっ、この状況は異常ですからねっ!? だいたい、俺はみんなと違って あんまり遠くまでは視えないんだからっ!!」
「そんなもん気合いでなんとかしろ」
「んな無茶なっ!!」
と、二人がそんな言い合いをしていた時、幽霊とは違った『何か』が氷雨くんの肩に乗った。
『僕が手伝ってあげるよ、氷雨さん』
「おぉっ、オサキ!!」
そこに現れたのは、いつもと同じように尻尾を揺らすオサキ。
氷雨くんの肩から降りたあと、彼は物凄い速さで複数の塊を倒していった。