「幽霊なんて怖くないッ!!」
「オサキちゃん強いっ!! さすがだねっ!!」
『いえいえ。 雨音さんの力の前じゃ、僕の力なんて霞んでしまうよ』
「ふふっ、誉め上手ねぇ」
雨音さん、氷雨くん、そしてオサキ。
3人のそばにはもうほとんど敵は残っていない。
……凄い。 みんな、本当に凄い。
「オサキ、サンキュー!! もぉマジで、あんた最高だよっ!!」
『ありがとう、氷雨さん。 でもまだ気は抜かないようにね?』
「オッケー、任せとけ!!」
『あぁそうだ、八峠クン。 “例のモノ”はさっきの岩の上へ置いてきたので回収を』
氷雨くんから八峠さんへと向き直ったオサキは、『急いだ方がいいよ』と言葉をつけ加えた。
例のモノ、ってなんだろう?
「くそっ、氷雨は『さん付け』かよっ」
……って、八峠さんが気になるのはそっちですか……。
まったくもう……こんなに大変な時なのに、余裕があるなぁ……。
「いつか絶対『さん付け』させてやるからなっ」
『はいはい、わかったわかった。八峠クン、早く取りに行ってね?』
「くそギツネめっ」
悪態をつきながらも、八峠さんの攻撃は止まらない。
1番近くに居た塊を警棒で突き刺したあと、彼は私の手を握って走り出した。
「雨音さん、あとを頼みますっ」
「ちょっと、八峠くんっ!?」
「オサキが居れば大丈夫!!」
それ以上は何も言わずに、八峠さんは警棒を頭上でブンブンと振った。