「幽霊なんて怖くないッ!!」


「オサキちゃん強いっ!! さすがだねっ!!」

『いえいえ。 雨音さんの力の前じゃ、僕の力なんて霞んでしまうよ』

「ふふっ、誉め上手ねぇ」




雨音さん、氷雨くん、そしてオサキ。

3人のそばにはもうほとんど敵は残っていない。


……凄い。 みんな、本当に凄い。




「オサキ、サンキュー!! もぉマジで、あんた最高だよっ!!」

『ありがとう、氷雨さん。 でもまだ気は抜かないようにね?』

「オッケー、任せとけ!!」


『あぁそうだ、八峠クン。 “例のモノ”はさっきの岩の上へ置いてきたので回収を』




氷雨くんから八峠さんへと向き直ったオサキは、『急いだ方がいいよ』と言葉をつけ加えた。

例のモノ、ってなんだろう?




「くそっ、氷雨は『さん付け』かよっ」




……って、八峠さんが気になるのはそっちですか……。

まったくもう……こんなに大変な時なのに、余裕があるなぁ……。




「いつか絶対『さん付け』させてやるからなっ」

『はいはい、わかったわかった。八峠クン、早く取りに行ってね?』

「くそギツネめっ」




悪態をつきながらも、八峠さんの攻撃は止まらない。

1番近くに居た塊を警棒で突き刺したあと、彼は私の手を握って走り出した。




「雨音さん、あとを頼みますっ」

「ちょっと、八峠くんっ!?」

「オサキが居れば大丈夫!!」




それ以上は何も言わずに、八峠さんは警棒を頭上でブンブンと振った。


< 253 / 285 >

この作品をシェア

pagetop