「幽霊なんて怖くないッ!!」


「自分の武器で、自分のペースで戦う。 それが出来りゃアイツが負けることはない。
でも今は……今のアイツは、相当な傷を受けていて全力で戦うことは出来ていない。
だから武器が必要なんだよ。 無理矢理にでも自分の得意な方へと引っ張らなきゃいけないんだ」

「……オサキは、小刀を取りに……?」

「あぁ。 少し前に、薄暮とカゲロウは数キロ離れたところで戦っていたらしい。
その時にカゲロウに傷を受け、小刀を紛失したんだと思う。
で、オサキは無事に小刀を見つけ出し、それを俺がハクに届けるっつーことだから、急ぐぞ?」


「……はいっ」




薄暮さんに小刀を届ける。 それが今の私たちに出来ることなんだ。

……でも、薄暮さんは今どこに……?




「八峠さんっ、薄暮さんの位置はわかるんですかっ!?」

「おう、大体ならな。 少しずつ離れてるよ。 カゲロウはハクを俺たちから離しつつ、隙があれば逃げおおせるつもりなんだろうな」

「……急がなきゃっ」


「だから、最初から急げって言ってるだろっ」




その会話のあと、再び走り出す。


そして辿り着いたのは、地面に半分ほど埋まった大きな岩のところだった。

その岩の上に、キラリと光る小刀が。




「よし。 じゃあコレをぶん投げるから力貸せ」

「……はいっ!?」




ぶん投げるっ!?


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