「幽霊なんて怖くないッ!!」
「ちょっ、なんでっ……頭おかしくなりましたっ!?」
「……お前な、俺を馬鹿にしてんのか?」
「いや、だって!! ぶん投げるなんて どう考えてもおかしいじゃないですかっ!!」
「それしか方法はねぇだろ。 どう頑張ったって、アイツらの超人的なスピードに追いつくことなんて出来ないんだから」
……それは、確かにそうだけど……。
でも、だからって『ぶん投げる』って、いったいどういうこと……?
「簡単に説明するとだな、俺とお前の力をほとんど全部 小刀に乗せるわけだ」
「……はぁ、それでどうするんです?」
「ぶん投げる」
「……」
「あぁもう面倒臭いなっ。 時間もねぇし、とにかくやるぞっ!!」
……全然 意味がわからないままに、準備は始まった。
柄を握り締める八峠さんに促され、私はその上に手を重ねて握り締めた。
八峠さんが何か呪文のようなものを言うと、私と八峠さんの気が小刀を包み込んでいく。
……イツキさんやユキさんに力を渡した時と同じだ。
私と八峠さんの力が、今は小刀に宿っている……。
「……これ、私たち死にません?」
「ギリギリ残すから大丈夫」
「でも、気を失ったらまた闇の世界?」
「さぁな、わかんねーよ。 でも、闇に落ちたって大丈夫だろ?」
全身から力が抜け、岩の上に座り込む。
それを支える八峠さんは、私の顔を見て微笑んだ。