「幽霊なんて怖くないッ!!」


【氷雨side】


………

……




「なんか、空気が変わったな」




幽霊を殲滅し、ゴロリと横になっていた時に感じた風は、どこか温かいものだった。




『一縷さんがカゲロウを倒したようだね』

「そっか、さすが俺の師匠っ」

『これからどうしようか。 八峠クンたちのところに行くかい?』


「少し休憩したらなっ」




オサキと話す声には なんとか力を込めるけれど、体はほとんど動かない。

ここで更なる敵が現れたらジ・エンド。


まぁでも、オサキがなんとかしてくれるかな?

なんて思いながら、腹の上にちょこんと座るオサキを見る。




「オサキ、重いよ」

『たっぷり運動したあとだ、言うほど重くはないだろう?』

「今はちょこっとの重さも勘弁してっ」


『そう言わずに。 僕だって休憩したいんだよ』

「俺は座布団の代わりか?」



なんて言い合いながら笑う俺とオサキの少し向こう側で、雨音さんが何かしているのが見えた。





「雨音さん、何やってんの?」




首をほんの少しだけ動かして見えたのは、木に寄りかかりながら目を閉じ、小枝を握りしめながら呪文のようなものを唱える雨音さんだった。




「なー、雨音さーん?」

「よっし、来た来た来たーっ」

「はぁ?」




全然意味がわからず、頭に クエスチョンマーク を浮かべる。

そんな俺を見た雨音さんは、ニヤリと笑ってから小枝を空へと放った。


< 264 / 285 >

この作品をシェア

pagetop