「幽霊なんて怖くないッ!!」
【氷雨side】
………
……
…
「なんか、空気が変わったな」
幽霊を殲滅し、ゴロリと横になっていた時に感じた風は、どこか温かいものだった。
『一縷さんがカゲロウを倒したようだね』
「そっか、さすが俺の師匠っ」
『これからどうしようか。 八峠クンたちのところに行くかい?』
「少し休憩したらなっ」
オサキと話す声には なんとか力を込めるけれど、体はほとんど動かない。
ここで更なる敵が現れたらジ・エンド。
まぁでも、オサキがなんとかしてくれるかな?
なんて思いながら、腹の上にちょこんと座るオサキを見る。
「オサキ、重いよ」
『たっぷり運動したあとだ、言うほど重くはないだろう?』
「今はちょこっとの重さも勘弁してっ」
『そう言わずに。 僕だって休憩したいんだよ』
「俺は座布団の代わりか?」
なんて言い合いながら笑う俺とオサキの少し向こう側で、雨音さんが何かしているのが見えた。
「雨音さん、何やってんの?」
首をほんの少しだけ動かして見えたのは、木に寄りかかりながら目を閉じ、小枝を握りしめながら呪文のようなものを唱える雨音さんだった。
「なー、雨音さーん?」
「よっし、来た来た来たーっ」
「はぁ?」
全然意味がわからず、頭に クエスチョンマーク を浮かべる。
そんな俺を見た雨音さんは、ニヤリと笑ってから小枝を空へと放った。