「幽霊なんて怖くないッ!!」
「……八峠さんと双葉ちゃん、大丈夫かなぁ」
『あの二人なら大丈夫、今は眠っているみたいだけど無事だよ』
「え、こんな山奥で寝てんの? つーか、そのくらい力を消耗してるってこと?」
『うん、二人の力はほとんど一縷さんに渡しちゃったらしい。 まぁ、だからこそ一縷さんはカゲロウに勝ったんだけどね』
なるほど、『カゲロウの血』でカゲロウを倒したってわけか。
八峠さんと双葉ちゃんは、自分の命を自分で守ったんだ。
「ところでさぁ、オサキって今までどこに居たの?」
『うん?』
「ほら、俺らがココに来た時は居なかったじゃん。 どっかでこっそり見てたの?」
『うーん、話せば長くなるんだけど……まずね、僕と一縷さんはココから少し離れた場所でカゲロウと接触したんだ。
一縷さんはそのままカゲロウとの戦いに入り、僕は八峠クンと合流するべくココに走ったんだ』
……そうか、薄暮さんとオサキが小屋のところに居なかったのは、別の場所でカゲロウと接触していたからなんだ。
『着いたあとすぐに、ぐったりとした八峠クンを発見し、僕はすぐに彼を別の場所へと運んだんだ。
小屋のそばでは いつカゲロウが戻ってくるか わからない。 生きていればなんとかなるだろうけど、殺されてしまっては意味が無いからね。
彼は相当な傷を受けていたけれど、まだ生きていた。 多分 彼が持っていたお札がカゲロウの攻撃から身を守ってくれたんだと思う』
……マジ? あの人、俺らが来る前にカゲロウにやられてたのか……。
あ、ていうことは……小屋がぶっ壊れてたのとか、木が倒れてたのとか……アレは八峠さんがやられた時に出来たものだったのか?
「……でもさ、さっき現れた時はピンピンしてたよね?」