「幽霊なんて怖くないッ!!」


見た目は怪我をしてるような感じじゃなかったし、かなり元気で動きもよかったように思う。

なのに、本当は大怪我をしていたんだろうか?




『僕も力を渡すことが出来るから、少しだけ傷を治してあげたんだ。 でも本当にほんの少しだよ。
幽霊たちを相手にしていた時は、彼は気力で戦っていたんじゃないかな。
戦いが終わった今は……というか、目覚めたあとは のたうち回るだろうね。
ふふっ、どう苛めてやろうか今から楽しみだよ』




そう言いながらオサキはくつくつと笑った。


……オサキはサディストだなぁ。

なんてことを思いながら苦笑いを浮かべる。


少し離れた場所では相変わらず雨音さんが小枝と格闘しているけれど、そんなことは気にせずに その後の話を聞くことにした。




「じゃあさ、オサキと八峠さんはどっかで俺らのこと見てたの?」

『うん、一縷さんが現れるまではね。 そのあと僕は八峠クンに頼まれてちょっとした仕事をしていたんだ。
ほら、一縷さんは普段 小刀を使っているだろう? なのにココに現れた一縷さんはそれを持っていなかった。
だから、カゲロウとの戦いの最中に紛失したんだと思って、僕はそれを探しに走ったんだよ』




そういえばそうだ。

俺らの前に現れた時、薄暮さんの手にはいつもの小刀は無くて、素手に気を纏わせていたっけ。




『粉々になっていたらどうしようかと思ったけど、小刀は無事だった。 少し刃は欠けてしまっていたけどね。
八峠クンはその小刀に自分と杏チャンの力を乗せ、一縷さんに届けた。ということだ。
つまりは、僕が小刀を探し出したおかげで勝利したということだよ』

「……結局自慢か。 まぁでも、俺がオサキでも自慢するなぁ」




小刀があったから、八峠さんと双葉ちゃんは力を渡すことが出来た。

その小刀を見つけたのは自分。 ってなったら、誰だって自慢すると思う。


だって、そのおかげでカゲロウに勝てたんだから。









「よしっ、今度こそ来たっ!!」




……って、雨音さんはいつまで遊んでるんだ。




「雨音さん、いい加減に……──」

「小枝で俺を呼び出そうとするなんて、彼女は どアホなのか?」

「──……って、イツキさん!?」




雨音さんが、マジで召還したのかっ……!?


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