「幽霊なんて怖くないッ!!」


「……八峠さんは、今どこに?」

「近所の公園に居ます。 なんだかんだと言いながらも、彼は杏さんのことを気にしていますから」




八峠さんが私のことを?

……本当にそうなんだろうか?

ただ単に寝泊まりする場所が無くて公園に居るだけのような気がするけれど……。






「杏さんは、今 現在『カゲロウの血』が何名 居るか知っていますか?」

「え? あ、いえ……正確な数はわかりません」




突然の言葉を受け、記憶を巡らせる。


……去年30代の男性が亡くなったのは覚えている。

というか、お葬式の時に『カゲロウの血だったから』と親戚のおばさんが言っていたから『そうだったんだ』と気が付いた。


その人の名前は聞いたことがあるけれど、顔を見ても わからない。 

私にとっては、その程度の間柄の人だった。


その人以外で知ってる人となると、秋さんと八峠さんだけだ。

あと数人居たように思うけれど、顔も名前も思い出せない。




「杏さん、八峠さん、秋さんの他に、あと4人居ます」

「4人……」

「60代の男性は とてもいい力の持ち主ですので、視える中でも人生を楽しんでいらっしゃいます。
30代の女性は ご主人が強いオーラの持ち主のようで、彼から常に加護を受けているので大丈夫そうです。
残りの二人は5歳の双子の兄弟で、八峠さんは彼らのサポートに多くの時間を費やしています」




60代、30代、そして5歳の双子……。

その人たちが『カゲロウの血』だなんて、全然知らなかった。

というか、会ったこともない……と思う。


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