「幽霊なんて怖くないッ!!」
「……私、親戚の集まりには顔を出してる方ですが……その人たちのことは、全然知らないです」
「60代の男性は現在海外で生活していますし、30代の女性は結婚して姓が変わってるので、当然コチラの集まりに参加することはほとんど無くなる。 だから知らないのは当然ですよ」
……なるほど、そう言われるとわかりやすい。
私の家は本家に近い場所だから割と集まりやすいけど、海外だとそう気軽には戻ってこられないと思う。
結婚して姓が変わった女性も、わざわざコチラの集まりには参加しない。 それは当然なのかもしれない。
「5歳の双子ですが、彼らの両親はまだ若く、自ら親戚の集まりに参加することはない。 だから『カゲロウの血』のことも最初は知らなかったんです」
「……双子の両親は『カゲロウの血』を知らなかったのに、八峠さんはどうして彼らのところに……?」
「僕は『カゲロウの血』を判別することが出来るんです。 だから双子が生まれた直後に八峠さんに話しました。
幸い、双子の曾祖母が『カゲロウの血』を知っていたので、八峠さんはすぐに接触することが出来ました」
……薄暮さんは『カゲロウの血』がわかるんだ。
凄いな……やっぱり長く生きていると、私たちにはわからないモノがわかるようになるのかもしれない。
「最初、双子の両親は八峠さんのことを『胡散臭い』と思っていたようです」
「……あ、気持ちはわかります。 私も胡散臭いなって思ってましたから」
「ふふっ、あんな“なり”をしていますから、確かに胡散臭いですよね。
でも、曾祖母の強い願いを受け入れ、両親は双子にお札を持たせていました。
けれど子供には、お札を持つ意味がわからない。 だから彼らが3歳の頃、お札は遊びの中で破り捨てられてしまったんです」