「幽霊なんて怖くないッ!!」


……お札が破り捨てられた。

それを聞き、私は自分が小さかった頃のことを思い出していた。


私も、小さい頃からずっとお札を持っている。

何故それを持たなきゃいけないのかはわからない。 けれどそれは絶対に持たなくちゃいけない物。


そう言い聞かせられて生きてきたけれど、それでも私は、双子と同じようにお札を破ってしまったことがあった。


……その時に私は、おばあちゃんの家の裏にある山で遭難して死にかけたんだ。




「双子は、大丈夫だったんですか……?」

「えぇ、助けに入った八峠さんは頭を打って3時間ほど眠ったままでしたが、その後無事に回復し、双子もかすり傷程度で済みました。
……僕がそばに居れば誰も怪我をすることはなかったのに、その時僕は別の場所に居たので、守ることが出来ませんでした」





言いながら天井を見つめる薄暮さんは申し訳なさそうな顔をし、そのあとに小さな笑みを見せた。




「その後 双子の両親は『カゲロウの血』を信じ、八峠さんを信頼するようになりました。
対策を施さなければ自分の子供が危険な目に遭う。 それがわかっているのに何もしない親は居ませんからね。
双子も今はなんとなく自分の置かれている状況がわかってきたようです。 と言っても子供は子供なので、何が起きるかわからない。
だから僕と八峠さんは遠くから双子を見守っているんです」


< 34 / 285 >

この作品をシェア

pagetop