「幽霊なんて怖くないッ!!」
「昨日、ハクが幽霊を体内に取り込んだだろ?」
「……はい」
「あの時に出た黒い小さな塊……アレが呪いの正体だ」
……薄暮さんは、幽霊は『凶暴にさせられている』と言っていた。
アレが無ければ、幽霊はほとんど無害……なのかもしれない。
カゲロウが黒い塊を……呪いを幽霊に仕込み、私に向けたんだ……。
「現在『カゲロウの血』は7人。 という話もハクから聞いたか?」
「……はい。 私、八峠さん、秋さん、60代の男性、30代の女性、そして5歳の双子……」
「あぁ、そうだ。 その中で呪いの影響を受けやすいのは5歳の双子、そしてお前だ」
……理由はわかる。
私と5歳の双子に共通するのは、『幽霊に対して何も出来ない』ということだ。
60代の男性はいい力の持ち主で、30代の女性はご主人が強いオーラの持ち主だから大丈夫。 と薄暮さんは言っていた。
秋さんは幽霊を飛ばすことが出来るし、今 目の前に居る八峠さんは……よくはわからないけど、薄暮さんが『僕よりも強い力の持ち主』と言っていたから、相当強いんだと思う。
でも私はお札と結界に頼るだけで、何も出来ない。
5歳の双子も、私とほぼ同じ状況だ。
ここ数ヶ月で幽霊に狙われる回数が増えたのは、そういったことが関係してるのかもしれない。