「幽霊なんて怖くないッ!!」


……初めは、本当に小さな子供の姿だった。

道路の隅の方でうずくまり、寂しそうな顔をした男の子。

近くには花が手向けてあったから、その場所で事故に遭い亡くなった子なんだろうとすぐに思った。


いつ頃亡くなったかはわからない。

少なくとも、私の頭の中には事故の記憶がない。


だから私が生まれる前……もしくは私が小さかった頃に亡くなったんだろうという結論に至った。


だけど、今まで何度もその道を通っているけれど、その子を視たのは今日が初めてだった。

……その時点で気付けばよかった。


私に対する『罠』だと、そう考えていればよかった。


< 5 / 285 >

この作品をシェア

pagetop