「幽霊なんて怖くないッ!!」
「オサキが殺ったら意味がねぇだろうが」
ベンチに座る八峠さんが、面倒臭そうな顔で私を見た。
……ううん、面倒臭そうというか、呆れてる顔だ。
「俺は暇じゃないんだから、いつまでもお前に付き合えねぇんだぞ? なのに自分は何もしないなんて、どういう精神してんだよ」
「だ、だって……」
「オサキ。 コイツから離れて秋のところに行っとけ。 コイツと二人で話がしたい。
もちろん危険なことはしない。 今日のゲームはもう終わりだからな」
ゲーム……。
幽霊に私を襲わせているのは、八峠さんにとってはゲームだったの……?
『八峠クン、杏チャンを泣かせないでくださいね?』
「んなことするかよ。 早く行けって」
『じゃあまたあとで』
ペコリと頭を下げたオサキは、いつも薄暮さんがやっているように一瞬で姿を消した。