「幽霊なんて怖くないッ!!」
……本気の目で言う、本音の言葉。
その全ての言葉が胸に突き刺さる。
……確かに私は、守ってもらいたいと思っていた。
今まで結界に守られていたように、お札に守られていたように、秋さんに守られていたように、これから先も『何か』が守ってくれる。 『誰か』が守ってくれる。
私はそう思いながら生きてきた。
今まで通り、秋さんが。
オサキの結界が。
薄暮さんが。
八峠さんが。
みんなが私を守ってくれる。 だから私は大丈夫。 私はずっとそう思っていた。
何も出来ないことを言い訳にして、無条件で守ってもらおうとしていたんだ……。
──『お前を守るために誰かが死んだら、お前はそれを『ありがとう、助かりました』と言って喜ぶのか?』
……違うよ。 違う……。
私のせいで誰かが死ぬなんて、そんなの違う。
「……私は、生きていきたいです。『普通』に人生を楽しんでいきたいです。
だから……だから私に、どうすればいいのかを教えてください」
幽霊はいつだって私の近くに居る。
今までは逃げてばかりだったけれど、それじゃダメなんだ。
「……どうすれば幽霊に勝てるのか、私に教えてください」
真っ直ぐに八峠さんを見て言う私に、彼はどこか満足そうな笑顔を見せた。