最後の世界がきみの笑顔でありますように。~last story~
「目、開けてくれないの?開けてよ、幸」
「う…そ………っ」
嘘、本当に………本当にそこにいるの?
「よ…陽………?」
「うん、ここにいる」
フワッと誰かの手があたしの前髪をかきあげる。
あたしは、目を閉じたまま涙を流した。
本当に、陽の手だっ………
ちゃんと、触れられる、あぁ、どうか、目を開けたらあなたがいますように……
「陽、会いたかった…」
あたしは目を開けて、精一杯笑う。
あの日、笑う事が出来なかったから……
「俺も、ずっと待ってた」
そこには優しく笑う、陽がいた。
あの日と変わらない姿、笑いかたさえも変わらない、あたしの大切な人………
「ずいぶん、待たせちゃったよね…」
「でも、幸がそれだけ生きたって事だから、俺は嬉しいよ」
陽はあたしの頭を撫でる。
その手を掴み、頬に寄せる。
「ずっと、触れたかったよ…陽……」
嬉しくて、涙がとまらない。
でも、許してね。陽が好きでたまらないの………
「俺も、幸に触りたかったっ……」
ーポタンッ
頬に水滴が落ちてきた。
陽の顔を見上げると、陽は泣いていた。
「陽、愛してる」
「俺も……幸を愛してる」
陽は、あたしに口づけた。
やっと、陽と繋がれた。
ずっとこのまま…繋がっていたいよ……